アセロラドリンクと糖尿病の関係
アセロラは「ビタミンCの王様」とも呼ばれる、フルーツの中でも特にビタミンCを非常に多く含んだ果実であり、その他にもアントシアニン類やケルセチン類などのポリフェノールが含まれています。また、アセロラジュースやアセロラドリンクといったアセロラ関連商品には、美白・美容に関する効果や、糖尿病やメタボリックシンドロームなど生活習慣病への予防効果などがあるとも期待されています。
実際、アセロラと糖尿病の関係について研究している報告は国内外に複数存在しており、例えばアセロラドリンクを飲んだマウスの血糖値上昇が抑制されたり、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が増加したりという実験データは、糖尿病の予防や改善にも関連性が期待できる内容です。[※1]
ポリフェノールは糖尿病に効果がある?
アセロラには、ビタミンCやポリフェノールが豊富に含まれていますが、これらの栄養はそれぞれ体内環境の改善をサポートするだけでなく、ビタミンCとポリフェノールの相乗効果によって、その働きがさらに強化されるともされています。
東海学園大学の津田孝範助教授や名古屋大学大学院の大澤俊彦教授らによる研究チームが行った実験では、アセロラにも含まれるポリフェノールの1つ「アントシアニン」を含んだ餌を食べたマウスにおいて、体重増加や脂肪合成が抑制され、一方で脂肪の分解は促進、さらに食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌が促進されるといった結果が得られました。[※2]
また、食品メーカーとして有名な株式会社ニチレイが参加している、ニューフード・クリエーション技術研究組合(NFC)でも、アセロラによる効果が研究されています。
NFCの研究では、アセロラに含まれているアントシアニン類やケルセチン類が、デンプンや砂糖を分解する消化酵素(マルターゼ、スクラーゼ)の活性を抑制していることが認められました。そして、これによりアセロラは食後の血糖値の上昇を抑制したり、緩やかにしたりするといった効果が示唆されています。[※3]
なお、NFCは農林水産省の指導と助成に基づいて設立された研究機関です。
血糖値の上昇抑制が糖尿病予防に期待できる理由
食事によって摂取された炭水化物が消化・分解され、糖分として血液中に取り込まれると、体内の血糖値が上昇し、膵臓からインスリンが分泌されます。するとインスリンの作用によって糖分が肝臓や筋肉などの細胞内に取り込まれるため、血液中の糖分の量が安全な範囲まで低下します。
これがインスリンによる血糖値の調整作用です。[※4]
しかし、食生活の乱れなどによって血糖値の急激な上昇が繰り返されると、インスリンの分泌が追い付かなくなり、やがてはインスリンの分泌機能そのものに異常が生じてしまいます。もしもインスリンの機能が正常に働かなくなった場合、血糖値を調整できなくなって糖尿病リスクも増加するでしょう。
対して、アセロラドリンクによる血糖値上昇抑制効果によって、食後の血糖値の上昇が緩やかになれば、インスリンの分泌機能にかかる負担も少なくなり、結果的に糖尿病の予防も期待できると考えられています。
【コラム】期待のアセロラドリンクも飲み過ぎには注意!
アセロラはビタミンCやポリフェノールが豊富に含まれている果実であり、アセロラドリンクを利用した動物実験でも、体重抑制作用や血糖値上昇抑制作用による、糖尿病予防効果が期待されています。
ただし、アセロラドリンクは医学的に効果が立証されている医薬品ではありません。また、市販されているアセロラドリンクには、ジュースとして糖分が多く含まれているものや、アセロラ果汁の割合が少ないものもあります。そのため、アセロラドリンクの力を過信して飲み過ぎることは禁物です。
アセロラドリンクで糖尿病リスクを抑えようと考える場合、製品の成分や1日の摂取目安量などをきちんと確認するようにしてください。
※2:公益財団法人日本食品化学研究振興財団公式HP「食品化学新聞 平成14年3月28日|肥満・糖尿病を抑制」
※3:ニチレイ公式HP「プレスリリース2004年|アセロラに含まれる機能性成分について」
※4:大塚製薬公式HP「血糖値とGIの関係性」