甘酒

甘酒と血糖値の関係

最近の健康ブームで、日本に古くから伝わる発酵食品の納豆やお酢が、血糖値の上昇を抑えることが報告されています。甘味成分としての、甘酒の利用も期待されています。

発酵食品は、血糖値の上昇やインスリン分泌を抑制することが分かっているため、発酵食品である甘酒にも、同様のはたらきが期待されているのです。

また、米麹甘酒は、血糖値を下げるイヌリンなどの食物繊維を含んでいることから、インスリンの過剰な分泌を抑制すると考えられています。

甘酒と血糖値の関係に関する研究はある?

甘酒が血糖値にどう影響するかという研究は、米麹甘酒にかんするものはいくつかなされていますが、酒粕甘酒にかんするものは見当たりません。

米麹甘酒はアルコールが含まれていないので、子供からお年寄りまで、飲むことができます。そのため、研究価値があるとされているようです。

また、米麹甘酒は、主成分がブドウ糖であるため、血糖値にかんする問い合わせが多いことから、米麹甘酒のみを対象として、研究が行われているようです。

これらの研究では、米麹甘酒の摂取前後の血糖値や血中インスリン値を測定。米麹甘酒が、血糖値や血中インスリン値の上昇を抑制する効果があるか調べています。

その結果、米麴甘酒を飲んだ時の平均最大血糖値は、白米のごはん1杯(200g)、または、おにぎり2個(300g)を食べた後の平均最大血糖値量よりも、低いことが分かりました。米麹甘酒は、血糖値を下げるイヌリンなどの食物繊維を含んでいるため、インスリンの過剰な分泌を抑えていると考えられます。

食後の血糖が気になる人が、米麹甘酒を飲むときは、少量ずつに分けて飲むことで、血糖値の急激な上昇を防ぐことができることもわかりました。

甘酒を飲む時に気を付けたいこと

食後の血糖が気になる人が、米麹甘酒を飲むときは、少量ずつに分けて飲みましょう。血糖値の急激な上昇を防ぐことができるようです。

酒粕甘酒についての研究は見当たらず、確かなことは言えません。ですが、発酵食品であること・適度なアルコール濃度である酒粕甘酒にも、糖尿病の予防効果が期待できそうです。しかし、やはり砂糖が入っているので、飲む量は控えめにしましょう。

甘酒の種類

甘酒には、「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の、2種類があります。米麹と酒粕は、どちらも日本酒を製造する時にできるものです。

米麹甘酒

日本酒の製造工程では、最初に、蒸した米に麹菌を付けて培養し、米麹を作ります。この米麹に、適温のお湯を混ぜて発酵を進めたものが、米麹甘酒です。

米麹甘酒の甘さの由来は、デンプンが分解されてできたブドウ糖。自然な甘さが特徴です。また、「甘酒」といっても、アルコールは入っていません。

米麹甘酒の効果として、アレルギー発症予防や整腸作用、腸内フローラの改善、美肌効果が報告されています。

酒粕甘酒

米麹に酵母を混ぜて発酵させると、もろみができます。このもろみを絞った汁が日本酒となり、絞りカスが酒粕となります。酒粕にお湯を加えて、砂糖などで味を調整したものが、酒粕甘酒です。酒粕を原料としているため、アルコールが入っています。

また酒粕甘酒には、レジスタントプロテインと呼ばれる、食物繊維のような生理機能をもったタンパク質も入っています。レジスタントプロテインは、タンパク質をアミノ酸に分解する酵素に耐性があるため、体内に吸収にくいのが特徴。脂肪を吸着して体外に排出するのではないかと予測され、肥満予防に効果があると言われています。

酒粕甘酒は、この肥満予防のほかにも、血圧抑制、総コレステロール抑制、健忘症抑制が、マウスを対象とした研究で報告されています。

エビデンスの参照先

※1:岡山県立大学保健福祉学部紀要 第24巻1号, 2017年, 9~14頁, 「甘酒が血糖値と血中インスリン値に及ぼす影響」

※2:八海醸造株式会社報道発表資料(2019年10月),「麴甘酒には食後血糖値及びインスリン量を上昇抑制する成分が含まれることを第71回日本生物工学会大会にて発表しました」

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