糖尿病の人はお酒を飲んでよいのかをリサーチ

お酒と糖尿病の関係

お酒好きな人にとって、お酒と糖尿病の関係は気になるところ。今のところ、お酒と糖尿病の直接的な因果関係は明確になっていないですが、精度の高い統計結果で、適度な飲酒は糖尿病を抑制すると考えられています。反面、過度な飲酒は糖尿病のリスクを高めるという結果も出ています。この結果からも糖尿病だから必ずすべて禁酒が必要というわけではなく、血糖のコントロールを適切に行えている分には一定量の飲酒は可能だといえるでしょう。

しかし、どのような状況の人は飲酒を控えた方が良いのか、どこまでが適切な飲酒量か、という点に関して知らないままお酒を飲むとマイナスに働きかねません。この2点について理解し、健康的な生活を送れるようにしましょう。

お酒を控えたほうが良い人とは

お酒を飲むことが可能かどうかは、合併症があるかどうか、血糖値が管理できているかという点がポイントになります。糖尿病の代表的な症状の一つに神経障害がありますが、アルコールを過度に摂取することにより神経がダメージを受け、糖尿病性神経症が悪化すると考えられているため、糖尿病で神経障害が出ている方にとってはお酒を控えるべきと言われています。

また、根本的な点ではありますが、血糖値がコントロールできていない方は、お酒は控えましょう。血糖コントロールとは、具体的にはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値を合併症予防の指標である7%未満に抑えることを指します。血糖コントロールは糖尿病治療における基礎と言えますので、コントロールできるまではお酒は控えましょう。

適度な飲酒量とは

過度な飲酒は健康を損ねる可能性が高いため、厚生労働省では飲酒のガイドラインを定めています。厚生労働省のガイドラインによれば、適切な飲酒は「純アルコールで20グラム程度」とされています。
「純アルコールで20グラム程度」というとイメージが湧きにくいと思いますが主だったお酒に換算すると以下の通りです。

  • ビール(5%) 500ml
  • チューハイ(7%)  360ml
  • 焼酎(25%)  100ml
  • 日本酒(15%)  160ml(1合)
  • ウィスキー(40%)  60ml
  • ワイン(12%)  200ml

参考:厚生労働省e-ヘルスネット

※()のアルコール度数での数値ですので、これよりもアルコール度数が高い場合には相対的に量は少なくなります。
また、飲酒ガイドラインには休肝日を週に2日設けることも推奨されています。総飲酒量を減らすことや肝臓を休めること、アルコール依存症の判断をすることなどに役立ちます。(アルコール依存症になると休肝日が守れなくなるため)

お酒を飲む際の注意点

お酒の飲み過ぎはインスリン抵抗性に影響する

インスリン抵抗性とは、血糖値を下げるために分泌されるインスリンが効きにくくなってしまう状態のことを指します。インスリンが効かなくなると吸収されない糖が血液に残り続けて血糖値が上昇します。お酒を飲みすぎることでこのインスリン抵抗性が高まってしまい、2型糖尿病のリスクが上昇するという実験結果が出ていますので、お酒を適切な量に留めることが糖尿病の治療や予防をするうえでの大事なポイントとなります。

おつまみを食べ過ぎないよう注意

お酒には食欲増進の効果があります。そのため、お酒を飲むといつもより食が進み、食べ過ぎてしまうケースはよく見かけます。また、その逆におつまみなどを食べることでお酒が欲しくなるということもあります。お酒を飲むと食べたくなって、食べるとお酒を飲みたくなって、というサイクルに陥ってしまうと飲みすぎと食べ過ぎを同時に引き起こし、糖尿病のリスクが高くなってしまいます。そのサイクルに陥らないためにも、お酒を飲んだ際に食べ過ぎないよう注意しましょう。

食事をとらない…はNG

食べ過ぎが良くないからと言って、食べずにお酒だけを飲むこともいけません。アルコールは肝臓の働きを鈍化させてしまうため、摂取した糖を効率よくブドウ糖に分解できなくなってしまい、低血糖状態になります。この状態で食事からの糖の摂取もなくなってしまうと、低血糖が悪化。ひどい場合には発作を起こし意識を失ってしまいます。お酒を飲む際には食事を適度にとることが血糖コントロールの一環でもあるのです。特に血糖降下薬を飲んでいる方はさらに低血糖が進む可能性があるので、食事をとらない状況での飲酒は控えましょう。

糖質ゼロなら大丈夫?

肥満などが原因とされる2型糖尿病でよく言われるのが「糖質ゼロやカロリーオフに切り替えた」という話です。もちろん肥満を抑えるためにそういった行動をとることは大事なのですが、切り替えても気を付けた方が良い点は存在します。

まず、糖質ゼロやカロリーゼロの表記があっても完全にゼロとは限らないということ。基準値があり、それ以下のものはゼロと表記して良い決まりがあります。具体的には糖質0.5グラム未満の場合でも、表示法の原則としては糖質ゼロと表記可能です。ゼロと書いてあるからといって大量に摂取すると一定数摂取してしまう可能性がありますので注意しましょう。(参考までに、カロリーオフはカロリーが20kcal以下であれば表示可能です。)

次に、そもそもの話として、糖尿病を予防するために最も重視すべきことは糖質やカロリーではなく、アルコールの摂取量だということ。糖質を控えたからと、設定されているアルコールの摂取量を超えてしまっては元も子もありません。優先順位を間違えないように気を付けてお酒を飲みましょう。

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