炭酸飲料と糖尿病との関係
「炭酸飲料を飲むと太りやすくなる」「炭酸飲料を長期的に飲んでいると糖尿病リスクが高くなる」などの俗説があります。これら俗説に関して、やや一般の認識が曖昧なところがあるようです。炭酸飲料と糖尿病との関係について、まずは土台を明確にしておきましょう。
- 炭酸が問題ではなく炭酸飲料に含まれる糖質が問題
炭酸飲料から生まれている粒々の気体は、二酸化炭素です。二酸化炭素自体には、肥満や糖尿病を誘発するリスクはありません。よって、たとえば単に二酸化炭素を水に溶かしただけの「炭酸水」は、糖尿病を招くリスク要因になりません。まずはこの点を理解してください。
一方で多くの炭酸飲料には、甘味料や果汁などの糖分が配合されています。糖尿病のリスク要因となるのは、これら炭酸飲料に含まれる糖分です。
糖分は、炭酸飲料のほかにも、さまざまな飲み物に含まれています。たとえば果汁100%のジュース。いかにも体に良さそうなイメージがありますが、糖分を多く含んでいるという点では、炭酸飲料と同レベルの糖尿病のリスク要因となるかも知れません。
(https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3119.html)
【コラム】炭酸飲料の過剰摂取には要注意
- 清涼飲料水糖尿病リスクを上げる理由
炭酸飲料を始めとした清涼飲料水は、一般に高カロリーな飲み物です。通常の食事に加えて、毎日のように清涼飲料水を飲めば、エネルギー摂取量が過多となり、結果、糖尿病のリスク要因である肥満を招く可能性があるでしょう。
また、清涼飲料水の甘味料として使用されているフルクトースは、内臓脂肪量の増加との関連が報告されている物質です。こちらもまた、肥満や糖尿病を招く恐れのある要素と考えて良いでしょう。
- 男性において清涼飲料水と糖尿病の関連が見られなかった理由
欧米における同様の調査では、女性のみならず男性も、清涼飲料水と糖尿病との有意な関連が報告されています。一方で日本人男性を対象とした上記の調査では、清涼飲料水と糖尿病との間に有意な関連が確認できませんでした。
その第一の理由は、日本人は欧米人ほど清涼飲料水を飲まないこと。第二の理由は、女性よりも男性のほうが体格が大きいため、同じ量の清涼飲料水を飲んでも男性のほうが影響が少ないこと、などが考えられます。 逆に考えれば、たとえ日本人男性であれ、欧米人並みに炭酸飲料等を飲めば、糖尿病リスクが上がるということ。日頃から肥満気味、運動不足気味の方は、炭酸飲料の過剰摂取に注意したほうが良いでしょう。
エビデンスの参照先・国立がん研究センター予防研究グループ「清涼飲料水(ソフトドリンク)と糖尿病発症との関連について」