トマトに含まれる栄養素による血糖値へのはたらき
糖尿病に、トマトジュースはどのようなはたらきがあるのか、ご存じでしょうか。実はトマトジュースには、血糖値を下げるはたらきがあるのです。
正確にはトマトジュース、というよりもトマトに含まれる栄養素に血糖値をさげるはたらきがあります。そのため、フレッシュなトマトジュースを飲むことで血糖値をさげることとなり、糖尿病の抑制や緩和にも効果を発揮する、というわけ。
しかも、生のトマトよりも、トマトジュースのほうが血糖値をさげる成分をからだに吸収しやすいのだとか。遺伝などが原因の1型糖尿病はともかく、食生活の改善で予防がきできる2型糖尿病に対しては、トマトジュースはとても有効なツールだといえるでしょう。
トマトのリコピンって?
そのトマトの血糖値を下げるはたらきをする成分とは何か。それが「リコピン」です。
リコピンはカロテノイドの一種で、野菜や果物の赤色やオレンジ色の色素成分でもあります。リコピンの特徴は、極めて高い抗酸化作用。活性酸素を除去したり、活性酸素の活動や発生を抑えたりする作用があるのです。その抗酸化作用力はβカロテンの2倍以上、ビタミンCに対しては100倍にも相当するといわれています。
血流改善作用もあり、代謝の促進作用も。まさに、リコピンは体内の掃除屋ともいえる存在なのです。
ですが、トマトにはリコピンを内蔵している細胞壁が固いという特性があります。そのため、生のトマトをそのままかじっても、トマトの持っているリコピンのポテンシャルを十分に引き出すことはできません。
しかし、トマトジュースなら話は別。すでに圧搾されているため、細胞が崩れてリコピンがしっかりとジュースのなかに溶け出している状態です。そのまま飲むだけで、トマトが本来有しているリコピンを余すことなく摂取することができます。
すでに述べたように、トマトジュースのほうが生のトマトよりも血糖値をさげる成分を吸収しやすいというのは、こういう理由だからです。
ただし、トマトジュースと血糖値の関係については研究段階の情報も多く、これらの効果がすべてえられるとは限りません。体質によっては飲み過ぎてなんらかの副作用を引き起こすことも考えられます。
副作用などが心配な方は、飲み過ぎても心配のない天然水などから血糖値対策をはじめるといいでしょう。
果汁100%ジュースの血糖値への影響
あるアメリカの調査会社の研究によると、ジュースのなかでも果物100%のものは、空腹時の血糖値や血中インスリン値などに影響をあたえなかったそうです。
アメリカの2型糖尿病患者への食事ガイドラインでは、果汁100%ジュース・4オンス(約118ml)は果物1サービング(1/2カップ)相当に該当し、「果物を補って食生活の向上に役立つ」と、記載。糖尿病患者の果汁100%ジュースの飲用を認めています。
もちろん、これは「果汁100%」であることが大前提。果汁90%や80%だと砂糖などの糖質で調整している可能性があるので、血糖値上昇のリスクをともないます。
生とジュースで違う研究結果
トマトジュースをより、効果的に飲むポイントについてもご紹介します。
それは、オリーブオイルを入れるというもの。リコピンの性質として、油に溶けやすいという特性があります。この性質を利用し、トマトジュースにオリーブオイルを入れ、電子レンジなどであたためると、リコピンの吸収率が上がるわけです。なかには、そのままのトマトジュースよりも、吸収率が4.5倍もアップするというデータも。
トマトジュースの難点をあげるとすれば、「飲みにくさ」と「飽き」かもしれません。
「トマトジュースがとにかく好き」という方な人なら話は別ですが、そうでもなければあの独特のクセは気になるところでしょう。また、「さすがに毎日飲んでいると飽きてくる」というケースも。
そんなときにも、オリーブオイルトマトジュースは活用できるでしょう。
【参考2】トマトジュースを飲むタイミング
意外かもしれませんが、もっともトマトジュースを効果的に飲むタイミング、というものも存在します。それは朝。
ふつうは、食事のとき、のどが渇いたときなど、とくに気にしていない方も多いかもしれません。
大手飲料・調味料メーカーであるカゴメ株式会社による「朝昼晩、どの時間帯がリコピンの吸収がよいか」という研究によると、もっとも吸収率が高かったのが朝だったのです。
ですから、トマトジュースを飲むのであれば朝食時に口にするようにすると、リコピンを効率よく摂取でき、血糖値の上昇を抑えることにもつながるといえます。