糖尿病(2型)のリスクを
高める原因は?
そもそも、糖尿病は何が原因となり発症するのでしょうか。引き金となる要因を見ていきましょう。
年齢
糖尿病の原因はさまざまありますが、年齢と共に糖尿病のリスクは高まります。その背景にあるのが、インスリンの分泌低下です。年を重ねると、インスリンの作用が弱まり、分泌量や減ったり、働きが悪くなったりします。高齢者の場合は、身体機能が低下しているので症状に気付かないまま進行し、糖尿病の合併症がかなり進行してしまうことがあります。
肥満指数
肥満になると、すい臓の組織がフル稼働し、インスリンを増産して糖の代謝を促して肥満の事態に対応しようとします。この状態が続くと次々と以上が起こり、糖代謝のサイクルが乱れ、今度はインスリンの分泌が不足する事態に陥ります。この結果、血糖値が上昇して糖尿病を引き起こしてしまいます。
家族の既往歴
遺伝が全てではありませんが、家族に糖尿病の患者がいる場合は、「糖尿病にかかりやすい体質」であるのは事実です。もともと、糖尿病になりやすい体質なので、食べ過ぎや運動不足、肥満、加齢、ストレスなどの要因が加わると、糖尿病を発症するリスクが高まります。糖尿病の家族歴がある人は、普段から生活の自己管理を厳格に行い、未然に防ぐことが大切です。
高血圧
高血圧の人が糖尿病を併発する頻度は、2~3倍と言われています。高血圧と糖尿病は、ともに密接な関連があり、糖尿病と高血圧を併発した場合の死亡リスクは6~7倍にもなることが分かっています。高血圧と糖尿病はともに、メタボリックシンドロームが関わっている場合が多く、対策を行い内臓脂肪の蓄積を解消する必要があります。
喫煙
たばこと糖尿病の関係については、国内外の研究で明らかになっています。たばこを吸うと交感神経が刺激され、体内のインスリンの働きを妨げられてしまい、高血糖の状態に陥りやすくなります。そのため、喫煙本数が多い人ほど糖尿病にかかりやすく、禁煙した人はリスクの低下がみられています。また糖尿病にかかった人がたばこを吸い続けると、治療の効果が弱まるほか、脳梗塞や心筋梗塞・糖尿病性腎症などの合併症のリスクが高まることが分わかっています。
過度な飲酒
アルコールは、アルコール自体の作用や、アルコールの代謝によって血糖値に影響を与えます。大量に飲み続けると血糖値を下げる働きをもつ、インスリンの作用が不足する「インスリン抵抗性」に影響し、糖尿病のリスクを上昇させることが明らかになっています。また、アルコールは食欲を抑制するホルモンを減少する作用もあり、脂分の多い食事を摂ると、血糖値に悪影響を与えてしまうというリスクもあるので注意が必要です。
糖尿病にならないための
予防策
糖尿病にならないためには、まず日常生活を見直すのが大切です。はじめは大変かもしれませんが、出来ることから毎日コツコツと続けましょう。以下のポイントを守って糖尿病の発症を防ぎましょう。
- 食事を腹八分目に抑える
- 積極的な野菜摂取
- 軽い運動からでも始められるようにする
- 体重を5~10%減らす
- 禁煙する
- 健康診断を受ける
- ストレスと上手に付き合う
糖尿病は高血糖の悪影響がじわじわと体に広がっていく病気です。進行すると、週に3回、半日がかりで透析を受けるようになるほか、失明する恐れ・手足にひどいしびれが起きるといった、さまざまな合併症を引き起こします。このような合併症を起こさない為にも、食べ過ぎに注意し、体重を適正にコントロールしたり、運動を取り入れたりして、インスリンの働きを良くすることが大切です。
食事内容を見直そう
間食はしない
朝、昼、晩の食事を規則正しく摂り、間食は控えましょう。間食はしないに越したことはありませんが、どうしても間食をしたいときは、次の点に気を付けましょう。
- 夕食後は間食しない
- 量を決める(例:80kcal)
- 間食の後は、運動をする(散歩のような運動でOK)
減塩する
糖尿病になると血圧上昇を抑えるため、減塩する必要があります。1日に摂ってもよい量は、男性では8g未満、女性では7g未満です。
高血圧になってしまったら、1日に摂ってもよい量は、6g未満となります。昆布・かつおといった、だしの旨味を生かすといった工夫をして、塩分を控えましょう。
カーボカウント
炭水化物の摂取量を把握し、血糖をコントロールすることをカーボカウントといいます。
炭水化物は、他の栄養素にくらべ、体への吸収が速く、血糖値が上がるのも速いため、摂りすぎると、糖尿病を悪化させるリスクが高まります。
砂糖入りの飲み物は飲まない
炭水化物以上に注意が必要なのが、砂糖や果糖などの単糖類です。単糖類は、炭水化物以上に体への吸収が速く、血糖値の上昇も速くなります。
とくに砂糖を含む清涼飲料水には、食べ物に含まれる砂糖よりもずっと多い糖分が入っています。ふだん、砂糖入りの飲み物を飲んでいるとしたら、砂糖の入っていない飲み物に変えるところから始めてみてはいかがでしょうか。
食事のポイント
食べてはいけないもの
糖尿病の食事療法で、食べてはいけないものはありません。標準体重から適正な摂取カロリーを割り出し、それを守ることが大切です。
バランスのとれた食事を心がける
主食・主菜・副菜といった和食の基本といえるスタイルで、いろいろな食材から栄養を取るようにしましょう。糖尿病でなくても、健康なうちからバランスのとれた食事を心がけることで、糖尿病をはじめ、さまざまな病気のリスクも抑えられるでしょう。
3大栄養素を摂取するときの配分としては、次が好ましいでしょう。
- 炭水化物(適正な摂取カロリーの50~60%)
- タンパク質(標準体重1kgあたり1.0~1.2g)
- 脂質(適正な摂取カロリーの20~25%)
また、野菜に含まれる食物繊維や、乳酸菌のような善玉菌をふくむ発酵食品をとるのは、糖尿病予防につながります。
最近、糖尿病の発症には、腸内フローラが深く関与していることがわかってきました。腸内には、顕微鏡でみると、まるでお花畑のように、腸内細菌がたくさん存在しています。大腸菌のような悪玉菌を減らし、乳酸菌のような善玉菌を増やせば、糖尿病を始めさまざまな病気のリスク低下に期待できます。
参照元:
※1:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 「糖尿病の食事のはなし(基礎編・実践編)」
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/020/02-1.html
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/030/02-2.html
運動が糖尿病になぜいいのか
有酸素運動するとインスリンのはたらきがよくなる
有酸素運動をすると、血糖値は下がりやすくなります。有酸素運動により、筋肉の細胞の中にどんどんブドウ糖が取り込まれるため、インスリンのはたらきがよくなるのです。ウォーキングやジョギングのような運動のほか、全身を使う水泳のような運動を有酸素運動といいます。ウォーキングの目安は、1日1万歩です。
激しい運動は血糖値が上がりやすい
強度の高い激しい運動をすると、逆に血糖値を上げるホルモン(アドレナリンやカテコラミン、グルカゴンなど)の分泌を増やし、一時的な血糖値の上昇を引き起こします。激しい運動は避けましょう。
有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせが効果的
有酸素運動は、ややきついと感じるくらいの中等度の強度が、もっとも効果的です。
筋肉が多いほど有酸素運動によって血液中のブドウ糖が消費されます。筋肉をふやすための筋力トレーニングと組み合わせると、より高い治療効果があることが分かっています。
効果的な運動の頻度・時間・タイミング
できれば毎日、少なくとも週に3~5回、20分以上の有酸素運動を行ない、1週間の合計を150分以上にするとよいでしょう。筋力トレーニングは週に2~3回行うことが推奨されてます。運動をするタイミングはいつでもよいのですが、食事の1~2時間後に行うと、食後の血糖値の上昇を抑えられます。
糖尿病にならない生活のポイント
ストレスと上手くつきあう
過度なストレスがあると、糖尿病にかかりやすくなります。自律神経は、交感神経と副交感神経があり、このふたつのバランスがとれていることが大切です。強いストレスが加わると交感神経を活発にするホルモンが分泌されます。このホルモンは、血糖値を上昇させ、インスリンのはたらきを悪くするリスクを高めるのです。
睡眠を取る
睡眠時間が不足したり睡眠の質が低下したりした場合も、糖尿病のリスクが高くなります。睡眠不足になると、交感神経を活発にするホルモンの分泌が増加。血糖値が上がりやすくなり、インスリンのはたらきが抑えられる可能性があります。
禁煙する
喫煙すると、糖尿病にかかりやすくなります。喫煙により交感神経が刺激されると血糖の上昇や、インスリンのはたらきをの阻害といったリスクが高まるからです。。
アルコールは飲み過ぎない
アルコールを飲み過ぎると、血糖のバランスが崩れやすくなります。
お酒と一緒におつまみを食べれば血糖値が上がりやすくなり、逆にアルコールによって肝臓に負担がかかると低血糖のリスクが上がる場合も。血糖値が急激に、または頻繁に、上昇・下降を繰り返すと、糖尿病の悪化につながります。
肥満にならない
肥満は、糖尿病のリスクを高めます。体脂肪には皮下脂肪と内臓の周辺につく内臓脂肪に分けられ、このうち糖尿病と関連性が深いのが内臓脂肪だといわれています。内臓脂肪は不摂生な食生活で増加しやすいのですが、皮下脂肪に比べて食事制限や運動で燃焼されやすいという特徴があります。
参照元:
※1:【医師監修】「睡眠不足」が糖尿病の一因に?! ~そのメカニズムと、良質な睡眠をとる方法~ 伊藤メディカルクリニック院長伊藤幹彦医師
http://糖尿病の治療と予防ナビ.com/生活習慣で予防/睡眠不足が糖尿病の一因に/
※2:糖尿病予防のストレスマネージメント
https://www.yukoji.com/Diabetes/stress.html
※3:厚生労働省 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-03-004.html