糖尿病患者向けの食べてもいいもの【豆類】

豆類

beans

肉類は糖尿病に良いのか?

小豆、インゲン豆、らっかせいなど、私たちの身近にある豆類。血糖コントロールの改善作用を持つ種類もあり、糖尿病患者を対象に行われた試験で効果が認められた、との報告もあります。
カナダ・トロント大学の研究チームが2型糖尿病患者に対してヒラマメ、ひよこ豆などの豆類を摂取してもらう試験を3ヶ月間行ったところ、豆類を摂った群は、血中のヘモグロビンの値が0.5%ほど低下しました。
これは、豆類に多く含まれる食物繊維が関係しています。食物繊維は、食べ物に含まれる糖質がブドウ糖に分解・吸収されるスピードを緩やかにし、糖質の急激な上昇を抑える働きがあるためです。さらに、この試験では血糖値だけでなくコレステロール値と中性脂肪値の低下も認められ、生活習慣病のリスク低下にも期待が持てることが明らかになっています。
また、スペインのロビラ・イ・ビルジリ大学の研究によると、エンドウ豆などの大豆以外の豆類が心血管疾患にどのような影響を与えるかを4年間調査した結果、豆類を3.35人前以上摂取する人は、摂取量が1.5人前以下の人よりも糖尿病の罹患率が35%も低いという結果が得られました。
同研究チームでは、豆類が食物繊維のほかにカルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルが豊富に含まれていて、低GI食品であることが、血糖値の上昇を抑える要因に繋がっていると考えています。
なお、最近は野菜を最初に食べる「ベジファースト」に加え、糖質が少なく食物繊維が豊富なメニューを朝食で摂る「セカンドミール効果」が注目されています。セカンドミール効果とは朝食で食物繊維を豊富に摂ると、2度目の食事である朝食後の血糖値の上昇も抑えられるというもの。このセカンドミール効果でも推奨されているのが豆類です。
ある試験で、21~22歳の男女が普段の朝食を1週間摂るのと、普段の朝食に豆乳、納豆を加えた朝食を1週間摂るのを比較した結果、豆乳を摂取した場合は、朝食だけでなく昼食後の血糖値の低下にも貢献することが明らかになりました。
ほかの食材との組み合わせによっては、血糖値の抑制効果が発揮されない場合もあるようですが、挑戦してみる価値は十分にありそうですね。
炭水化物の半分を豆類に置き換えると糖尿病のリスク低減にも繋がるので、パンや白米を摂り過ぎている人は、豆類に置き換えるなどしてバランスをとっていきたいですね。

豆類の食べていいもの
・悪いもの

マメ科に属する代表的なものと言えば、インゲン豆、小豆、ひよこ豆、ラッカセイなどですが、全部で70~80種類ほどあり、その数はとても豊富です。栄養素もそれぞれ異なりますが、食べていいもの・悪いものはあるのでしょうか?

食べて
いいもの

  • ・レンズ豆・ひよこ豆・エンドウ豆などの豆類
  • ・小豆
  • ・インゲン豆

食べて
悪いもの

  • 特になし

なぜ食べていいのか?

レンズ豆・ひよこ豆・エンドウ豆など低GIの豆類

これらの豆類は、含まれる糖質の吸収度合いが小さい低GI食品です。また、含まれる糖分量そのものも少なく、食物繊維やミネラルが豊富に含まれているため、食後の血糖値の上昇を穏やかにしてくれます。特にレンズ豆やひよこ豆は有意なリスク低下が認められています。ただし、体に良いからと言って食べ過ぎは禁物です。日頃の食事の一部として取り入れ、バランスを保ちながら摂り続けていきましょう。

小豆

小豆には血糖値の上昇を緩やかにするポリフェノールや食物繊維が豊富に含まれています。西洋では、食前酒にワインを飲みますが、これはポリフェノールを豊富に含むワインを飲むことで血糖値の上昇を緩やかにするため。小豆にも同じような作用が期待できるのです。

インゲン豆

インゲン豆には、食物繊維を豊富に含む食材として知られるサツマイモの約3倍もの食物繊維が含まれています。煮て食べることで、糖の分解スピードを緩やかにする難消化性でんぷんも豊富に作られるため、スープ等で摂取するのがおすすめです。

糖尿病患者・糖尿病予備軍向け
レシピ集【豆類編】

枝豆・とうもろこし・トマトの白和え

レシピの紹介

色鮮やかな白和えは、どこか温かみを感じるほっこりする味わいです。とうもろこしや枝豆は缶詰や冷凍食品を利用することで火を使わずに済むため、忙しい時にももう1品として簡単に加えることができます。とうもろこしや枝豆は、それぞれ単品で食べても十分に美味しいですが、あえてトマトや豆腐と和えることでアクセントがプラスされ、飽きがこない味になります。調味料はほぼ使用していないに等しい分量ですが、炒りごまを活用することで香り豊かな仕上がりになります。

材料と分量

  • 茹でとうもろこし(果肉) 60g
  • 枝豆(さや無し) 30g
  • ミニトマト 50g
  • もめん豆腐 50g
  • 炒りごま(白) 小さじ1と1/2
  • 米酢 小さじ1
  • 塩 小さじ1/4

つくり方

  1. 豆腐は水切りをしておきたいため、キッチンペーパーに包み、軽く重しをかけておきます。
  2. ミニトマトは食べやすいように4等分にカットし、枝豆はさやから出しておきます。
  3. すり鉢の中に炒りごまを入れすりつぶした後、水切りしておいた豆腐と米酢、塩を入れ滑らかに整えます。
  4. 最後にとうもろこしと枝豆、トマトを加えてさっと和えれば完成です。

アボカド納豆サラダ

レシピの紹介

栄養たっぷりなサラダの主役は、「森のバター」と呼ばれるほど脂質が豊富なアボカドです。アボカドに含まれている脂質は植物性脂質のため、肉類や乳製品に多い動物性脂質と比較し健康的な脂質と言えます。脂質を摂取することで、食後の血糖値上昇が後ろ倒しできる可能性があります。また、抗酸化物質とリコピンが豊富なトマトを加えることで、さらに栄養価はアップ。納豆を活用することで、簡単に味を整えることが可能です。

材料と分量

  • アボカド 10g(1/8個)
  • 納豆 25g(1/2パック)
  • きゅうり 30g
  • ミニトマト 20g
<調味料>
  • 醤油 2g
  • レモン汁 2g
  • オリーブオイル 2g

つくり方

  1. アボカドときゅうりはそれぞれ7mm角になるようにカットしておきます。ミニトマトはアボカド、きゅうりと同じような大きさになるよう8等分を目安にカットします。
  2. 用意しておいたボウルに納豆を加え、醤油、レモン汁、オリーブオイルを入れてよく混ぜておきます。
  3. 十分に混ぜ合わさったところでカットしておいたアボカド、きゅうり、ミニトマトを入れさっと混ぜれば完成です。

ミックスビーンズとキャベツのマリネ

レシピの紹介

ガルバンゾーと呼ばれるひよこ豆や、青えんどう、レッドキドニーと呼ばれる赤いんげん豆などを複合した豆をミックスビーンズと呼びます。コンビニでパウチになっていたり、缶詰としても売られているので手軽に手に入り、栄養価が高く便利な食材です。食物繊維が豊富で、様々な豆を含んでいるので噛み応えがあります。またキャベツにさっと下茹でをしていることで食感が増し、より満腹度が高いメニューに仕上がっています。

材料と分量

  • キャベツ 100g
  • ミックスビーンズ 25g
  • <調味料>
  • 穀物酢 小さじ2
  • 醤油 小さじ1
  • オリーブオイル 小さじ1/2
  • はちみつ 小さじ1/2

つくり方

  1. キャベツは5cm程度の角切りにカットします。この間にお湯を沸かしておき、カットしたキャベツを入れさっと茹でます。軽く火が通ったら冷水にとり、しっかり水気を絞ります。
  2. ボウルに調味料として用意しておいた穀物酢、醤油、オリーブオイル、はちみつを入れよく混ぜ合わせます。
  3. そこへカットしたキャベツと、ミックスビーンズを入れ混ぜ合わせたら完成です。

そら豆の煮物

レシピの紹介

素材の味を活かしたシンプルなレシピです。そら豆には体に優しい植物性たんぱく質や、ビタミンB群、カリウムなどが含まれており、その栄養価は非常に高いです。薄皮を敢えて残しておくことで、これらの栄養素をより閉じ込めておくことができます。煮た後に時間を掛けて置いておくことで味が染み込み、さらに美味しくなるほか、そら豆は焼いても非常に美味しい食材です。同様の味付けで焼きそら豆を作ってみても美味しくいただけます。

材料と分量

  • そら豆 60g(10粒)
  • <調味料>
  • だし汁 50ml
  • 醤油 小さじ1
  • みりん 小さじ1

つくり方

  1. 殻から取り出したそら豆には、後で味が染み込みやすいよう薄皮に切れ目を入れておきます。
  2. 小さな鍋にだし汁、醤油、みりんを入れ沸騰したら、そら豆を入れて1分程煮ます。
  3. 軽く色が変わる程度に火が入ったら完成です。

低GI食品とは

GI値が高い食品は、血糖値を急激に上昇させる可能性があります。

血糖値が急に上昇することで、糖の処理を行うために必要なインスリンが大量に分泌され、分泌が追い付かなくなってしまう可能性があります。人間にとって炭水化物は非常に重要な栄養素ですが、消化を前提に考えるのであれば、GI値が低い食品を積極的に摂取したいものです。

加工食品や炭水化物のGI値が高いことに対し、大豆はGI値がたったの15と非常に低い食材です。GI値は55以下で低いという定義なので、大豆が際立って低いことが分かります。

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