クロム

クロムとは?

クロムとは微粒ミネラルの1つで、単位を「μg」で表示され、その分量は100万分の1グラムです。種類は「3価クロム」と「6価クロム」があり、自然界で摂れる食品や人体で形成されるクロムのほとんどが3価クロムです。体内に入るとインスリンの作用を強める効果があり、血糖や血液中の脂質を調節するために働きます。

一方、6価クロムは金属メッキなど人為的に作られた物で、強い刺激性や毒性があり、人体にも害があり発がん性の高い物質です。過去には中毒を起こして問題になった事例も。そういった理由から、環境汚染物質とも言われています。

3価クロムは通常の食生活で十分摂取できるミネラルなので、不足することは基本的にありません。万が一体内でクロムが不足した場合は、インスリンの作用が低下するため糖尿病のリスクが高まります。

クロムとインスリンの関係性

クロムは体内に微量にしか存在しませんが、その影響は大きく、炭水化物や脂質の代謝を助けるインスリンの効果を高めてくれる働きがあります。

クロムは肉や魚などにも含まれているため、特に意識して摂取しなくても問題なく摂れる成分ですが、万が一クロム欠乏症になってしまうと、インスリンが適切な効果を発揮できなくなり、体内からブドウ糖を過剰に消費するようになってしまうため、インスリン非依存型糖尿病でもある「耐糖能異常」や「2型糖尿病」を発症しやすくなります。

反対に、耐糖能異常や2型糖尿病の患者さんにクロムを補給すると、インスリンの作用が増強されます。その結果、血糖値の上昇を防ぐことができるため、糖尿病の改善に有効的とされています。

しかし、今現在では研究結果にいまいち統一感が見られません。まだまだ研究段階と言ってよいでしょう。今後に期待ができますね。

耐糖能異常とは?

耐糖能異常とは、一般的に言う「糖尿病予備軍」のこと。血糖値が通常より高いものの、現段階では糖尿病と診断されるほどの症状ではない…といった状態を指します。

耐糖能異常の特徴には、心血管疾患などのリスクは高いものの、糖尿病でよく見られる合併症は伴なわないなどがあります。

しかし耐糖能異常を持つ人の約25~30%は、インスリン不足が原因で発症する2型糖尿病になりやすい可能性があることから「糖尿病予備軍」と言われるのです。

糖尿病のリスクを軽減させるためには、耐糖能異常と診断されたうちからクロムが不足していないか、日頃の食生活を一度見直してみるのがおすすめです。

クロムと糖代謝の関係性

「3価クロムは耐糖能改善効果がある」という背景をもとに、糖代謝異常を発症した患者さんに3価クロム化合物200~1,000μgを投与する、という研究が行われました。その結果、2型糖尿病の血糖値や耐糖能の改善が見られました。

また治療のために、長期間に渡ってクロム非添加高カロリーの点滴をした糖代謝異常の症例では、血中や毛髪内のクロム濃度が健常者と比較しても明らかに低下することが判明しました。

糖尿病患者の症例では尿の排水量にクロムが増加していることからも、クロム不足などの摂取異常によって代謝異常が引き起こされることが推測できます。

このような結果から、クロムは糖代謝に大きく関わるミネラルだということが判明。中心静脈栄養で治療中の患者さんや2型糖尿病と診断された患者さんは、クロムが減少することが糖代謝異常を引き起こすことに疑いがないという結果が出ています。クロム補充の有効性において今後の研究にも期待ができる、といって過言ではありません。

クロムの摂取目安量

クロムの1日あたりの摂取目安量は、成人の場合は10μg~35/とされています。クロムは魚や肉類にも含まれているミネラルのため、普通の食生活でも必要な量を摂取できます。とくにクロムを多く含むのは、乾燥した藻類やきくらげなどです。以下に、クロム摂取量の多い食品をまとめてみました。

  1. あおさの素干し…160μg
  2. バジル粉…47μg
  3. 粉寒天…39μg
  4. あおのり…39μg
  5. パセリ(乾)…38μg
  6. 刻み昆布…33μg
  7. パプリカの粉…33μg
  8. こしょう…30μg
  9. 乾燥きくらげ…27μg
  10. 干しひじき…26μg

クロム不足になると起こる症状

体内のクロムが不足するとインスリン作用が低下して、耐糖能も低下してしまいます。耐糖能が低下すると、体内のブドウ糖が過剰に消費されてしまい、耐糖能異常(いわゆる糖尿病予備軍)や2型糖尿病のリスクが高くなります。

しかし、耐糖能異常の原因はクロムの欠乏のみとは限りません。クロムの栄養状態の測定が正確でないことが、識別の妨げになっているのも現状です。

クロム過剰摂取によるリスク

自然界で摂れる食品や人体で形成されるクロムは、毒性の少ない3価クロムです。そのため通常の食生活においては、クロムを過剰摂してしまう心配はほとんどありません。

しかし長期間摂取すれば過剰摂取も起こりえます。その際の過剰摂取の症状として挙げられるのは、嘔吐や下痢や腹痛、重症では腎尿細管障害、中枢神経障害、肝障害、造血障などがあります。

また、人工的に作られた毒性の強い6価クロムを摂取してしまうと皮膚炎や肺がんのリスクが高まったり、中毒になったりするおそれがあります。

エビデンスの参照先

※1:微量栄養素情報センター「クロム」
※2:J-STAGE|日衛誌, 2012年, 67巻4号, P.485-491「クロムはヒトの栄養にとって必須の微粒元素だろうか?」
※3:公益社団法人 福岡県薬剤師会「クロム(Cr)の生体内での作用は?糖尿病と関係があるか?」

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