糖尿病におけるトクホ飲料の効果

糖尿病にトクホは効くのか?

私たちの食生活の中に、すっかり馴染み深くなった「トクホ」のマーク。トクホとは、特定保健用食品の俗称で、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、お腹の調子を整えたりするのに役立つなど、特定の保健の目的で効果が期待できる食品とされています。

糖尿病へのアプローチであれば「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」などの効果を持つ食品が該当します。

血糖値の上昇を抑える効果があり、糖尿病への効果も

トクホのうち、「血糖値が高めの人に適する」と表示を認められた食品は約100種類あります。

トクホとしての表示が認められている成分は決まっていて、2018年2月現在では、「難消化性デキストリン」、「L-アラビノース」、「難消化性再結晶アミロース」、「グァバ葉ポリフェノール」、豆鼓エキス」の5種類の成分が認められています。

これらの成分は、血糖値の上昇を抑える可能性が期待できるものです。医薬品ではないので疾病が治ったりするわけではありませんが、規則正しい食生活を基本とし、その上でトクホを活用すれば、血糖値の上昇を抑える効果が得られるかもしれません。
しかしながら、糖尿病治療を受けていて治療薬と併用するとお腹がゆるくなったり、腸内ガスが発生して膨満感が出るなど副作用の可能性もあります。トクホを糖尿病治療に活用しようと考えている場合は必ず医師と相談するようにしてください。

血糖値の上昇を抑えるトクホ成分

難消化性デキストリン

トウモロコシのでんぷんから作られた物質の総称で、でんぷんの仲間です。日本人の食生活が欧米化し、食物繊維が不足しがちになったことから、食物繊維不足を補うために作られました。

難消化性デキストリンには糖の消化・吸収スピードを遅らせる作用があり、食事と一緒に難消化性デキストリンを摂取すると、食後の急激な血糖地の上昇を抑えることが確認されています。

グァバ葉ポリフェノール

果物のグァバの葉に含まれる、ポリフェノールです。グァバ葉ポリフェノールは腸の中で消化酵素と結合して、ブドウ糖の分解に使われる消化酵素の数を減らすことができるため、血液中のブドウ糖の量が減り、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。
グァバ葉ポリフェノールは分子が大きいので、腸管から吸収されず腸の中で働くという利点があります。

小麦アルブミン

小麦粉に含まれるたんぱく質を精製した物質です。でんぷんをブドウ糖に分解する消化酵素の働きを緩やかにするため、糖質の消化・吸収も緩やかになり、血糖値の上昇を抑える効果が期待されます。

豆鼓エキス

大豆を麹で発酵させた豆鼓という素材から抽出して天然成分です。豆鼓はマーボー豆腐や豆鼓醤などに隠し味として使われています。豆鼓エキスに含まれる、豆鼓トリスが消化酵素の働きを阻害することで、糖の吸収を穏やかにし、血糖値を下げる効果が実証されています。

L-アラビノース

植物の細胞を作っている糖類の一つです。豆類、野菜、ともろこし、小麦粉などに含まれています。風味は砂糖とほとんど同じで、砂糖の60%ほどの甘さです。実験では、砂糖に摂ると、摂った砂糖の血糖値の上昇を30~40%抑えることが明らかになっています。

人工甘味料は糖尿病にいいのか?

人工甘味料は砂糖よりも低カロリーで、少量で甘さを得られるため、糖尿病の人でも摂取できる甘味料だとされてきました。しかし、人工甘味料にはたくさんの種類があり、なかには体内で消化・吸収・代謝されにくいものもあり、血糖値が上がってしまう甘味料があることも分かってきました。

2018年には人工甘味料が腸内細菌の環境を破壊して糖尿病を発症あるいは悪化させる要因となるという研究発表もあり、摂取することで逆効果になってしまう可能性があるとも言われています。

人工甘味料の中でも血糖値に影響を及ぼさないものもあれば、及ぼす危険性のあるものもありますが、トクホ飲料を飲む場合もできるだけ人工甘味料を使用していないお茶などを選ぶほうが安全です。

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