糖尿病網膜症
糖尿病の病状が進行すると、血管がつまり網膜の毛細血管まで酸素が行き渡らなくなり、網膜酸欠状態に陥ります。その結果、新しい血管が作られますが、新生血管はもろいため出血しやすく、目のかすみ、飛蚊症、視力の低下、視野が狭くなると言った症状が現われ、進行すると網膜剥離が起こり、最終的に失明する恐れもあります。
糖尿病が進行すると、臓器や神経に異常が起こり、さまざまな合併症を引き起こします。一般的に、発症から10年以上放置していると、目、腎臓、神経に異常が出ると言われており、これを三大合併症と言います。
糖尿病の病状が進行すると、血管がつまり網膜の毛細血管まで酸素が行き渡らなくなり、網膜酸欠状態に陥ります。その結果、新しい血管が作られますが、新生血管はもろいため出血しやすく、目のかすみ、飛蚊症、視力の低下、視野が狭くなると言った症状が現われ、進行すると網膜剥離が起こり、最終的に失明する恐れもあります。
糖尿病を長年放置すると尿にアルブミンという物質が増え、これが増加するとタンパク尿になり、腎臓の血管がもろくなり、たんぱく尿やむくみ、高血圧が起こります。腎機能がさらに悪化すると腎不全を起こし、人工透析が必要です。
高血糖状態が続くことにより、知覚神経・自律神経に異常が起こり、しびれ、痛み、発汗コントロールの異常、下痢、排尿障害、勃起障害など、さまざまな障害が起こります。同じ糖尿病の合併症である腎症や網膜症が自覚症状のないまま5年、10年と経過してから発症するのに対し、神経障害は自覚症状がごく初期の段階から現れるのが特徴です。
症状がひどくなるとほとんど痛みを感じなくなるため、足にケガをしやすくなります。小さな傷ができても気づきにくく、手当が遅れがちになり、糖尿病による足の潰瘍(かいよう)が現れます。また、糖尿病になると血行障害や免疫力の低下により治癒力が弱まりやすいので、傷口から細菌が入り込み、足に糖尿病性壊疽(えそ)が始まる場合も。しびれのせいで痛みを感じにくく診察が遅れ、細菌による症状が足全体に広がってしまい、足の大部分を切断することになったという話もあるのです。
糖尿病は放置すると深刻な合併症を引き起こす恐れがあります。これは、高血糖状態が続くと血液の流れが滞り、酸素や栄養が細胞まで届かなくなるためです。合併症が起こる前に、食生活の改善や運動を取り入れるなどして、血糖値をコントロールしていきましょう。また、神経障害は初期段階から現れやすいので、異常に気付いたら速やかに医療機関を受診し、早期に治療を受けることをおすすめします。
糖尿病かどうかの診断をするとき、もっとも有効な方法は、血液検査で血糖値とHba1cをみることです。血糖値とHba1cの基準値を少し超えても、まだ糖尿病ではありません。基準値を超えてから、糖尿病と診断される値未満までは糖尿病予備軍といえます。
医師は症状、家族歴、体重歴なども参考として総合的に判断し、糖尿病と診断します。しかしまれに、血液検査の結果が糖尿病予備軍であっても、糖尿病特有の症状が現れることも。この場合も糖尿病だと診断されます。
糖尿病の治療では、食事療法が重視されます。食事は毎日とらなければならないものであり、管理を怠ると症状の悪化を招くため注意が必要です。
現在糖尿病自体を完治させる薬は開発されておらず、クリニックでは症状の悪化を防ぐ目的で薬を処方します。そもそも糖尿病は風邪のような病とは異なり、近視や肥満のような、普段の習慣によって「体質が変化」した状態といえます。近視や肥満が薬で治らないように、糖尿病も普段の生活習慣で少しずつ体質を元に戻していかなければなりません。
糖尿病治療の実態は、薬物療法を除けば、「糖尿病の治療=食事療法・運動療法」といってもよいでしょう。食事療法や運動療法を行いながら、定期的に通院し、血液検査で治療がうまくいっているか判定をします。食事療法というと、色々と食べてはいけないものがあると思われがちですが、基本を守ればそういったことはありません。また、食べ方次第でどんな食品も害になる場合もあるのです。
食事療法の基本はカロリー制限です。肥満は糖尿病のリスクを高めるので、生活習慣の改善で標準体重に近づけるのが目標となります。
身長から標準体重をもとめ、標準体重にもとづいて、1日あたりの適正な摂取カロリーを決めます。これを基準としながら、いろんな食品をバランスよく採るのが大切です。カロリー制限以外にも、次のようなことに注意しましょう。
自覚症状がなく、気づかない内に進行してしまう。これが糖尿病の「怖いところ」といえます。特に定期検診を受けていない場合、糖尿病は見逃されてしまうので、年に1回検診を受けることは非常に重要です。
まったく同じ食品でも、摂取のしかたによって体への影響は変わってきます。わかりやすい例をあげると、果物はそのまま食べたほうが、ジュースにして飲むよりも良いといえます。ジュースは消化吸収が速く、体内へ急速に吸収されます。そのため、インスリンの分泌が間に合わず、極端な高血糖になる恐れがあるのです。
同時に吸収し終えた際、糖の供給が途絶えてしまい、急上昇した血糖値が短時間のうちに急降下する恐れも。高血糖・低血糖の両方のリスクを高めてしまいます。
糖尿病が進行すると、さまざまな合併症が起こりやすくなります。症状は全身のさまざまな場所へあらわれるため、注意が必要です。
特に目の病気(糖尿病性網膜症)、腎臓の病気(糖尿病性腎症)、末梢神経の病気(糖尿病性神経障害)は、糖尿病の三大合併症と呼ばれています。
糖尿病を発症しても、しばらくは無症状です。ときには、かなり進行していても無症状であることから、とくに治療せずに、10年以上放置したケースも。症状に気づいた時には、すでに時遅しで、「失明した」、「足を切断した」、「一生、人工透析を受けて生きていくことになった」といった悲劇に見舞われたという話は少なくないのです。
糖尿病は、血管の病気ともいえます。細動脈や毛細血管のような小さな血管だけに限らず、大きな動脈も糖尿病によって障害を受けてしまうのです。大きな血管の障害は、糖尿病と併発する場合が多い高脂血症の影響により、進行すると動脈硬化のリスクが高まります。その結果、狭心症や心筋梗塞、脳卒中を発症することも。血管は体中を巡っているため、障害によって引き起こされる合併症は、体中のどこでも発生しうる問題です。
糖尿病による症状の進行で現れる合併症は、時に命に係わるほど重篤な病状をもたらします。普段の食べ物や飲み物に注意をはらい、糖尿病の予防をしていきましょう。
参照元:
※1:一般社団法人 日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2019