シークァーサーと血糖値の関係
柑橘系植物にはフラボノールやアントシアニンなど複数のフラボノ類が含まれていますが、中でも沖縄産のシークァーサーに多く含まれるポリメトキシフラボノイド(PMFs)の1種「ノビレチン」には、血糖値の上昇を抑制して糖尿病を予防する効果や、抗がん作用といった、様々な健康増進効果があると期待されています。[※1]
また、ノビレチンはシークァーサーの他にもカボスや温州ミカンなどに含まれている成分ですが、シークァーサーには特に多く含まれており、「長寿の里」や「シークァーサーの里」とも呼ばれる沖縄県大宜味村において、長寿の秘訣の1つとも目されている栄養です。[※2]
ノビレチンで血糖値上昇抑制効果を期待できる?
ノビレチンには数多くの健康増進効果があるとされており、アルツハイマー型認知症の予防やメタボリックシンドロームの予防、アレルギーや炎症などを抑える作用、抗がん作用、そして血糖値の上昇抑制といったものがあげられます。
中でも血糖値の上昇抑制には、インスリン分泌機能への負担を軽減させ、糖尿病のリスクを低減させる効果が期待されており、糖尿病のマウスやラットを用いた動物実験でも、シークァーサー由来のノビレチンには好意的なデータが得られているようです。[※1]
なお、シークァーサー果汁だけでなく、シークァーサーを素材とした食品などにもノビレチンやタンゲレチン(PMFsの1種)は含まれており、色々な商品開発や有効利用も検討されています。
農研機構による研究報告
沖縄特産シークァーサーの果汁を、自然発症糖尿病マウスに体重1kgあたり1ml投与することで、血糖値の上昇が抑制されました。
また、シークァーサーから抽出したノビレチンを、自然発症糖尿病マウスに体重1kgあたり20ml投与した結果、シークァーサー果汁を投与した場合や、またはそれ以上に、血糖値上昇抑制効果が確認されました。
これらの結果から、シークァーサーや、シークァーサーに含まれているノビレチンには、糖尿病を予防したり症状を改善したりする効果が示唆されています。[※1]
研究で考察されたノビレチンの血糖値上昇抑制メカニズム
ノビレチンの血糖値上昇抑制効果は、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの分泌量が、ノビレチンによって促進されるためと考えられています。[※3]
アディポネクチンはエネルギー代謝に関係している善玉ホルモンの1種であり、糖代謝の制御にも関与するとされている物質です。
アディポネクチンが分泌されると、インスリン感受性が高まり、体内でインスリンの働きが促進されます。そして、これによって血糖値の正常化がサポートされるため、必要以上にインスリンが分泌されることもなくなり、膵臓の負担が軽減されて糖尿病のリスクを低下させると考えられているようです。[※4]
なお、アディポネクチンはコレステロールの代謝にも関与しており、血中コレステロールの上昇を抑える有効成分としても知られています。実際、農研機構の研究によると、シークァーサー果汁やノビレチンを摂取された高血圧症マウスにおいて、血圧の上昇が抑制されたという報告や、脂肪の分解が促進されたという報告がされています。[※1,5]
【コラム】シークァーサーは糖尿病だけでなく様々な病気を予防する?
沖縄県大宜味村は「長寿の里」と呼ばれると同時に、柑橘系植物である「シークァーサーの里」とも呼ばれており、沖縄産シークァーサーに含まれているフラボノイド「ノビレチン」は、長寿や健康の秘訣かも知れないと期待されている成分です。[※6]
農研機構などがマウスやラットを使って行った動物実験によると、ノビレチンには血糖値の上昇を抑制したり、脂肪の分解を促進したりする効果が認められており、これらの結果から、人の場合でも糖尿病やメタボリックシンドロームの予防につながるのではないかと、さらなる研究が進められています。
※2:大宜味村まるごと体験,「大宜味村の見所」
※3:株式会社わかさ生活|わかさの秘密公式サイト,「ノビレチン」
※4:株式会社わかさ生活|わかさの秘密公式サイト,「アディポネクチン」
※5:農研機構公式サイト,「かんきつ成分ノビレチンは脂肪細胞の分化と脂肪細胞中の脂肪分解を促進する」
※6:有限会社大河公式サイト,「シークァーサーの効用」