糖尿病の初期症状

糖尿病患者の初期症状

糖尿病の患者数は年々増えており、国民病のひとつと言われています。「まさか自分がなるわけない」と他人事のように思っている方も、糖尿病予備軍である可能性があるのです。実は、糖尿病と予備軍の人の数は約2,000万人も存在します。糖尿病は一度発症すると、今の医学では元の状態まで戻すことは不可能ですが、予備軍のうちならまだ間に合います。糖尿病の初期症状を知り、糖尿病予備軍の疑いがある場合は、早急に対処しましょう。

糖尿病予備軍や糖尿病初期に自覚症状はない!

糖尿病予備軍の正式な呼び名は、日本糖尿病学会では「境界型糖尿病」、WHOでは「耐糖能障害」といいます。糖尿病の症状である、のどの渇き、多飲、多尿、体重減少などの症状は、血糖値がかなり高くならないと、起こりません。1型糖尿病の場合は、発病直後に血糖値が非常に高くなる場合があるため、このような症状や意識障害が起こることがあります。2型糖尿病の場合は、糖尿病を発症しても、しばらくの間は、“無症状”です。「これがこの病気の怖いところ」といえます。自覚症状が現れにくいので、定期検診を受けていない場合、糖尿病を見逃されてしまうからです。

糖尿病にならないためには定期検診を受けることが重要!

いったん糖尿病になってしまうと、元の健康な状態には戻れません。つまり、糖尿病は、“不可逆”な病気なのです。糖尿病になった場合、それ以上悪化しないための治療を行っていきます。糖尿病の予防や早期発見には、定期検診を受けて、血液検査で血糖値やHba1c(グリコヘモグロビン)に異常がないか確認するのが極めて重要です。もしここで異常が見つかったとしても、まだ糖尿病になっていなければ、元の健康な状態に戻れます。血糖値とHba1cの基準値を少し超えても、まだ糖尿病ではありません。血糖値とHba1cの基準値を超えてから糖尿病と診断される値未満までを、「境界型糖尿病」といいます。いわゆる、糖尿病予備軍です。糖尿病予備軍は、食事や飲み物に注意し、肥満にならないように気を付け、運動を心がければ、もとの健康な状態に戻ることができるのです!まれに、まだ糖尿病と診断されない、糖尿病予備軍でも、糖尿病の症状があらわれます。その場合は、血液検査で糖尿病の値に達していなくても、糖尿病と診断されます。

参照元:厚生労働省|平成28年国民健康・栄養調査結果の概要(PDF)

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センターのホームページ

京都大学 糖尿病・内分泌・栄養内科 糖尿病教室

糖尿病の症状

糖尿病は、インスリン(血液中のブドウ糖を体内の細胞に送り込むはたらきを持つホルモン)が分泌されなくなる、または分泌されても体へ働きにくくなる病気です。

血液中のブドウ糖濃度(血糖値)の上昇により、体の毛細血管や腎臓にダメージが与えられてしまいます。

症状が進行すると、のどの渇き、多飲、多尿・頻尿などの糖尿病特有の症状が現れます。血液がドロドロの状態になることで、血流が悪化。小さな血管がつまり、足のむくみ、目が見えにくい、などの症状が現れます。

また、インスリンが働きにくくなるので、逆に低血糖状態に陥る場合もあります。インスリンは体に取り込まれなかった糖の再吸収にも関わるホルモン。働きにくくなると、エネルギー源であるブドウ糖が体内に取り込まれにくくなり、体がエネルギー不足になります。放置すると、体重減少、疲れやすい、傷が治りにくいなどの症状が現れるのです。

ブドウ糖濃度(浸透圧)が原因の症状

のどの渇き

糖尿病は、血液中にブドウ糖が溢れてしまう病気です。血液中にブドウ糖が溢れると、尿と共に体外へ排出しようとするため、尿の量が増えてしまいます。尿は水分ですから、尿の量が増えると体の水分も多く失われることになります。こうした多尿により、のどが異常に渇いてしまうのです。
普段からのどの渇きが頻繁に起こる人は、糖尿病が潜んでいるかもしれません。血液中のブドウ糖の濃度が高くなると、高血糖による浸透圧の作用がはたらきます。この浸透圧の作用で、尿の量が増加。尿の量が増えると、ブドウ糖は体外へ排出されますが、体の水分が多く失われます。すると脳が水分不足だと認識し、のどの渇きを強く感じるようになるのです。大量の水分を摂っても頻繁にのどが渇く、という症状が現れます。


多尿・頻尿

先述の通り、血液中に溢れたブドウ糖は尿と一緒に排出されます。尿の量も回数も増える場合はもちろん要注意ですが、特に注意が必要なのは、尿の泡が消えない人です。きめ細かなクリーミーな泡が残る尿は、糖尿病の合併症である腎症が発症している恐れがあります。尿の量や状態は、健康状態を表すバロメーターとも言えます。意識してチェックするようにしましょう。

血流が悪くなることが原因の症状

足のむくみ・足がしびれる・足がつる

糖尿病で、血液中のブドウ糖濃度が高くなると、血液がドロドロの状態になり、血流が悪くなります。その結果、足のむくみ、足がしびれる、足がつる、などの症状があらわれます。

傷の治りが悪い

糖尿病で、血液中のブドウ糖濃度が高くなると、毛細血管がつまり、体の細胞に酸素や栄養素が行き渡らなくなります。細胞に元気がなくなり、免疫力が落ちて、傷が治りにくくなるのです。

立ちくらみ

立ちくらみは体調不良や疲れで起こりやすいですが、実は糖尿病のサインでもあります。立ちくらみは、血液の流れが悪くなり、脳内に血液や酸素の供給量が一時的に減少すると起こります。糖尿病になると自律神経の働きに障害が起こることがあります。そうすると、血液の流れが滞り、立ちくらみが起こりやすくなるのです。

意識障害

血糖値が極端に高くなるような時に、意識障害の症状があらわれる場合があります。1型糖尿病の合併症のひとつである急性糖尿病に多くみられます。2型糖尿病では、薬剤性低血糖が原因で、意識障害が起こると報告されています。血液中のブドウ糖濃度が極端に高くなるために、脳の小さな血管がつまることで引き起こされる症状です。最悪の場合は、死にいたります。

目が見えにくい・目がかすむ

私たちの目は、瞳から入った映像を網膜に投影し、見た物を視覚として捉えています。網膜には毛細血管が密集しているので、血液が十分に送られないと目のかすみのような症状が現れます。
糖尿病になり高血糖の状態が続くと、血液がどろどろになり、血管が閉塞しまい、眼内の血管が詰まって網膜に栄養や酸素が行き渡らなくなります。そのため、糖尿病になると目のかすみが現われるのです。

尿の泡立ちがなかなか消えない

健康な人でも尿が勢いよく出ると、尿が泡立つことがありますが、時間がたつと泡は消えてなくなります。しかし、時間が経っても泡が消えない場合は、尿にタンパク質が出ている可能性があります。糖を多く含む食べ物を食べた後に、尿の泡立ちが強くなる場合は糖尿病かもしれません。

エネルギー不足が原因の症状

体重減少

糖尿病になると、インスリンがうまく働かなくなり、体の細胞のエネルギー源であるブドウ糖が、細胞に送り込まれなくなります。そのため、いくら食べても、体重が減少してしまいます。

全身の倦怠感

糖尿病はインスリンの作用不足により起こる病気です。インスリンは、血液中にあるブドウ糖を体の細胞に送り込み、エネルギーに変えたり、エネルギーとして蓄えたりする働きを持っています。ところが、糖尿病の人はインスリンがうまく作用しないため、血液中のブドウ糖が残ってしまいます。ブドウ糖が残るとエネルギーが筋肉や内臓などに運ばれず、全身のエネルギーが不足。全身がだるく、疲れやすくなってしまうのです。

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