なぜ温泉療法が糖尿病に良いのか?
糖尿病の方や予備軍の方が温泉に浸かるメリットは、エネルギーを大量に消費できる点です。日本温泉気候物理医学界の研究によると、42℃のお湯に10分間入ると体温2℃ほど上昇し、基礎代謝が増すことがわかっています。一般的に、10分間で30~40kcalのエネルギーを消費できると言われています。基礎代謝が増えると、インスリンの作用も活発になるため、血糖値の降下が期待できます。
また、地中から湧き出る温泉に含まれているイオンなどの薬理的な作用も加わり、自己免疫の向上など多くの有用作用も得られます。
温泉に入る際の注意点
温泉療法はリラックス効果も得られる治療法ですが、適応となるのは軽度か中等度の糖尿病の方です。すでに糖尿病の合併症を持つような方がお温泉に入ると血糖が上昇することがあるため、細心の注意が必要です。
また、高齢者や介護を受けている方は一人で入浴をしないこと、必ず「かけ湯」をしてから浸かること、入浴前後は水分補給をすることが大切です。入浴中は発汗量が多くなり、熱くない温泉でも長く入浴していると多くの汗をかくため、水を飲まずに入るのは危険です。なお、入浴後の水風呂は刺激が強いので控えましょう。糖尿病の方は入浴中の低血糖にも注意してください。
浸かるだけじゃない、
飲むことも温泉療法
温泉と言うと「入浴」が思い浮かびますが、飲泉も非常に効果的です。飲泉はその名の通り、温泉を飲む行為。日本ではあまり浸透していませんが、ヨーロッパでは治療として認められています。
血糖値を下げる効果もあり
飲泉は線質によって効能が異なりますが、硫黄泉や硫酸塩泉などは血糖コントロールに作用し、糖尿病の症状を改善させる効果があるとされています。
北海道大学の研究グループが行った調査によると、硫黄泉の有名な温泉地である北海道の川湯温泉の飲泉には、血糖値を下げる効果があることが明らかになっており、エビデンスも存在しています。
温泉地が近い人は温泉療法も視野に入れよう
温泉療法は糖尿病の改善だけでなく、さまざまな側面から健康増進効果が得られます。すぐに効果を実感することはできませんが、定期的に継続することで体質が改善されていきます。温泉地が近くにある方は、ぜひ温泉療法を取り入れてみてください。また、温泉地が近場にない場合でも、最近は天然温泉を取り入れた日帰りスパも増えていますから、こうした施設を活用するのもおすすめです。